彼らは動物。そう、元々はただの動物だった。
ある感情を抱いてから、目が覚めた時には人間…然し、歴とした人間では無かった。其々耳や尻尾、角等の名残があったままだった。
そんな姿を見た人間達の反応の大体は蔑んだ目で見下し、嬲られ、傷つけられ、捨てられ、彼等は途方に暮れた。勿論そんな中にも優しい眼差しで受け止める者も多からず存在したそうだ。_そんな時に見つけたのがこの大きな館だった。その館を自分たちの憩いの場にしよう__。そう決めると、今では逃げてきたかの様に住み着く人もいれば、已むを得ず此処に足を運ぶ者も。
入居する理由は人其々だろう。
深い深い森の奥、自然が溢れたこの場所にひっそりと建つ古びた洋風の館。人間は足を踏み入る事ができない動物達の秘密の楽園。外壁には蔦が張っているが、お手入れはしっかりとされている様子。庭にも勿論自然が広がり、季節によっていろんな花が咲いている為、飽きる事がなく、テーブルなども用意されている。中はアンティーク調の家具やライトで華やかに飾られており、不便しない様な広い館になっている。一人一人部屋も完備されており、こんなにも広い土地があるのに人間達に何年も知られていないのがとても不思議だ。人里や街へ足を運ぶ事もできるが、館から少し離れると獣狩りの罠がぽつぽつと張られている為注意が必要。
元々はただの普通の動物。家畜や野良、飼われてた、元いたところの環境は其々。しかし、ある日、強い感情を抱いてから、僕らは人の形となった。その感情は、喜び、悲しみ、苦しみ、怒り…皆それぞれ違った感情を持って人となった。
これは子供でも大人でもあり得る事らしい。もう元の動物の姿になる方法も分からず、若しくは完璧な人になる方法も分からない。